身内(親・兄弟)からの資金調達

こちらでは、親や兄弟、親しい友人からの資金調達について解説していきます。

会社設立時の資金調達として、身内から融資を受けるのが一番楽ではありますが、”親しき中にも礼儀あり”という言葉もあるように、いい加減にしていると関係が悪化してしまう事もあり、最低限の常識をもって借入をする必要があると思います。

身内からお金を借りるうえで、出来たら作成しておいた方が良いのは、「お金を借ります・貸します」を明確にする、金銭消費貸借契約書を残すことです。厳しい親御さんであったり、友人同士であれば、念のため公正証書で作成する、1000万円ちかい金額ともなると、所有する不動産などに担保(抵当権設定)を付けるなど、間違いなく返済できるように段取りを組むこともあります。また親から子供に多額のお金が動く場合などは、贈与税の対象ともなってしまいますので注意が必要です。

それぞれについて下記にてご説明いたします。
 

金銭消費貸借契約書を作成する

創業にあたって、身内や友人からお金を借りる場合に、金銭消費貸借契約書を作成する事は珍しいことではありません。ここではそのポイントをご説明いたします。

<契約の主旨>

金銭消費貸借契約書は、債権者(貸す人)が一定の金額を債務者(借りる人)を貸し渡し、それと同額を返還することを約束する契約書のことを言います。

<明確にすること>

①元本(いくら貸すのか)

②金利(利息をつけるのか)

元本が10万円未満の場合は年20%、元本が10万円以上100万円未満の場合は年18%、元本が100万円以上の場合は年15%の金利を付ける事は法律で認められています。これを超える金利は法律違反のため無効となります。また、支払いが遅れている場合などの損害金については、利息の1.46倍となっております。この利息を明記していない場合は無利息となります。

③返済の方式

どのように返済するのかも明記すべき事項となります。月々の返済とするのか、毎年の返済とするのか、1年間の一括の返済とするのかなど、返済のタイミングの記載が必要になるほか、現金で債権者のところに持って行くのか、指定された口座に振り込むのかなども、決めておく必要があります。

④期限の利益の喪失

期限の利益とは、一定期限が来るまで債務の履行について請求されないという債務者のための権利のことです。分かりやすくご説明しますと、600万円を借りて毎月の末日に50万円、1年で600万円を返済する場合、1年間は返済の猶予があり、いきなり一括で返済して下さいと言われてない権利という事です。
通常、金銭消費貸借契約書の中には指定の日付に支払が遅れた場合には、「期限の利益の喪失」が記載されております。これは、つまり指定した日付に返済が出来なかった場合には、残額を一括返済しますよ、という事になります。

<公正証書で作成する場合>

専門家が入って公正証書で、金銭消費貸借契約書を作成する場合、契約書の文中に強制執行認諾文言が記載されます。この強制執行認諾文言とは、「債務者が債務を履行しない時は、直ちに強制執行を受けても異義のない事を承諾する」というものになります。この文言の入った公正証書がある場合、裁判上の手続きを経ないでも、債権者はすみやかに債務者の財産を差し押さえるなど、強制執行の手続きを進める事が可能となります。

 

贈与に注意する

1年間(1月1日~12月31日)で110万円を超える贈与については、贈与税の対象となります。これは現金・預金に限らず、不動産であっても同様となります。ですから、会社設立の際に、親から子供に事業資金として500万円を渡した場合など、見方によっては親から子供に対して、贈与があったと見られてしまう可能性があります。

この場合、500万円から110万円(基礎控除額)を差し引いた390万円が課税の対象となります。ちなみにこの場合は、贈与税が53万円かかり、贈与があった時の翌年の3月15日までに申告・納付をしなくてはいけません。贈与税はもらった方が、税金を払うことになります。

このように贈与にならないようにしたいのであれば、上記のように金銭消費貸借契約書や借用書を作成して、「あげた」のではなく、「貸した」または「借りた」という証拠を残しておく必要があります。

親子間であっても、お金の貸し借りには十分に注意をしておくことをお勧めいたします。

 

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